【西国三十三所観音巡礼】第三十二番札所 繖山 観音正寺~総白檀の観音様に千日参りをさせていただきました~
西国三十三所 第三十二番札所 繖山 観音正寺(きぬがさざん かんのんしょうじ)を参拝しました。
毎年8月18日は「千日参り」の日で、この日にお参りすれば千日の功徳をいただけるという有難い日です。
繖山 観音正寺
宗派 : 天台宗系単立
御本尊 : 千手千眼観世音菩薩
開基 : 聖徳太子
開創年 : 推古天皇13年(605)
あなとうと 導きたまへ 観音寺 遠き国より 運ぶ歩みを
観音正寺までの交通
標高約433mの繖山の山頂付近にあり、西国三十三所巡礼の中でも難所と言われています。
自家用車やタクシーであれば、山上駐車場まで行けるため歩く距離は少なくできますが、徒歩の場合は、1200段ほどの石段を上らなければなりません。
しかし!
「千日参り」の日は、五個荘観光センターからお寺までピストンタクシーがあるのです。往復で1000円かかってしまいますが、せっかくなので、こちらのタクシーに乗せていただきました。
五個荘観光センターまでは、JR能登川駅から出ている路線バスに乗り、「ぷらざ三方よし」バス停で下車すると、五個荘観光センターがすぐです。
タクシーは5人が乗れる普通車で、4~5台でピストン輸送しているようでした。
自家用車や個人手配のタクシーだと山上駐車場までしか行けませんが(そこからお寺まで徒歩で約10分)、ピストンタクシーはお寺入口まで行っていただけるため徒歩0分です。とてもラクできてしまいました。
仁王像
山門はなく、仁王像が守っています。
ピストンタクシーはここで、乗降します。
本堂
平成5年にご本尊とも焼失してしまい、 平成16年(2004年)に落慶した新しい本堂です。本堂へは、本堂右奥から靴を脱いで上がらせていただくことができます。
まずは、塗香でお浄めします。
ご本尊は、焼失後、インドから運ばれた白檀で彫像された新しい千手千眼観世音菩薩です。坐像なのですが、高さが約6.3mもあります。
写真は、受付でいただいたパンフレットを撮影させていただきました。
10時から「千日会法要」が始まっていて、本堂の中は、40~50人ほどの方が法要に参列されていました。
内陣のご本尊の前では、不動明王のご真言をお唱えしながらの護摩供が行われていたのですが、火の粉が結構高くまで舞い上がっていて、ご本尊に移ってまた燃えてしまうのではないかと少し心配してしまいました(笑)。
まあ、燃え移ったとしても、観音様の念力(観音力)?で消えてしまいそうでしたが・・・。
不動明王がお祀りされている不動堂で行われる護摩供は、他のお寺さんで何度か参列させていただいたことがありますが、観音様の前での護摩供と不動明王のご真言は初めてでした。
この護摩供は、令和4年の聖徳太子1400年ご遠忌にあたり八千枚護摩供が行われるため、その前行として今年から4年間修行されるようです。
8月11日から二十一ヶ座の護摩供が行われ、この日の千日会の法要で結願でした。
10時30分頃、最後に般若心経などが読経されて法要は終わりました。
法要の後は、内陣に入り、観音様の御身拭いをさせていただけます。
ご本尊御身拭い
和紙でできた散華を受け取り、内陣へ。
そして、白檀の観音様の手や膝などを散華でそっとさすり、御身拭いさせていただきました。
観音様の間近にいけることさえ滅多にないのに、御身拭いもさせていただけてドキドキしてしまいました。
観音様は大きかったですが、緊張と御身拭いに集中してしまって、お顔はほとんど見ていなかったような気がします。
内陣を出ると、アジサイをいただきました。
「無病息災」と書かれています。
ピンクの散華が御身拭いさせていただいた散華です。白檀の香りが移り、良い香りがしています。
通常、内陣拝観と御身拭いは300円ですが、この日は無料でした。
(この日は、11時30分で御身拭いは終了と案内されていました。内陣拝観と御身拭いができる日時は、確認が必要だと思います。)
すでにお線香をお供えしてお参りは済ませていたのですが、人が多く自分としては不完全燃焼なお参りになってしまったので(笑)、御身拭い後の本堂がだいぶ空いてきた頃、もう1回お線香とろうそくをお供えし、お参りしてしまいました。
この時に観音様のお顔をじっくり拝見。
とても優しく感じられ、なにかほっとするというか癒されるようなお顔でした。
観音様の手と繋がっている「結縁綱」もしっかり握り、ご縁を結ばせていただきました。
本堂横の石群
本堂横には大小の石を積み上げた石の山があります。
本堂から見ると、このように見えます。
本堂の手前から本堂の一番奥まで続いています。
こちらへ来る前、本などの写真で見た時は、大きさはそれほど感じなかったのですが、実物を見たら、一つ一つの石だけでなく、石の山全体が大きかったので驚きました。
石の山の中に人魚の像があります。
観音正寺は人魚伝説があり、その証として人魚のミイラがあったのですが、本堂の焼失とともに失ってしまったそうです。
この像のような人魚だったのでしょうか。
繖山からの絶景
本堂から見た絶景です。近江八幡市内が見えます。
境内のお地蔵さまの後ろにも絶景が広がっています。
こちらは仁王像を出たところから見た絶景。
下方の横に伸びる黒っぽい部分は新幹線の線路で、時折新幹線が走っていました。
護摩堂です。
釈迦如来坐像です。
江戸時代から安置されていましたが、第二次世界大戦の際に供出され、昭和58年に再建されています。
聖徳太子1400年ご遠忌
令和4年(2022)は聖徳太子が崩御されて1400年目になるそうです。
なのでこの年に聖徳太子1400年ご遠忌が営まれ、焼失してしまったご本尊のお前立が秘仏として御開帳されるようです。
これにあわせて「観音堂」と「閼伽井堂」が再建され、「観音堂」は、前述の秘仏千手観音のお堂になるようです。
白檀入り「繖の芬」
ご朱印と共に、こちらのお線香を購入しました。
「御本尊 白檀 御分身 繖の芬 観音正寺謹製」と箱に書かれていますが、ご本尊を刻んだ白檀が入っているお線香です。
お供え用としてだけでなく、玄関やお部屋香としても使えるので、お部屋香として使おうかな、と思います。
購入後、白い袋に入れて渡していただいたのですが、袋に御詠歌が書かれていました。
そして、よく見たら、なんと直筆のようなのです。
最初は印刷だと思ったのですが(印は実物だとすぐわかります)、よーく見ると筆の太さや濃さなどから直筆だとわかりました。
1枚1枚書いてくださったものだと思うと、驚きと共に、大事にしなくては、と思いました。
難所と言われる観音正寺ですが(今回はラクをしてしまいましたが・・・)、お参りができて良かったです。
巡礼は(自分の足で歩けるのであれば)自分の足で歩いてこそだと思うので、次は暑くない時期に、表参道の1200段の石段を上り、参拝させていただこうと思います。