大峰本宮 天河大辨財天社(奈良県吉野郡天川村)参拝
「呼ばれた人しか行けない」、「ご縁がなければ行けない」、「行くべき時期にならないと行けない」などどいわれる天河大辨財天社。実際、行こうとしたけど行けなかった、という方もいるらしいです。
奈良市から離れた山の中という、観光で気軽に行ける場所ではないのですが、そもそもこの神社の名前を目にすること自体がご縁をいただいたのだと思い、他に思うところもあり、早起きをして天川村へ向いました。
天河大辨財天社までのアクセス
近鉄電車とバスを使用しました。
駅舎を出るとバス停と奈良交通の案内所があります。
中央のバス停から天河大辨財天社行きのバスが出ます。
駅舎の横にはタクシーも2,3台待機していましたので、お財布に余裕がある場合はタクシーを使うこともできますが、お財布の余裕はかなり必要と思われます(笑)。
私は迷わずバスを選択。
が、天河大辨財天社へ行くバスは、1日に3本しかありません。
足に自信があれば天川川合というバス停で降りて、そこから30分程歩いて行くこともできます。
天川川合バス停までなら、1日に6本、4月下旬~11月末まではさらに3本(土日祝日は4本)増えます(2019年の運行です)。
8:47発のバスに乗りました。
この時に乗ったバスは小型のバスで、乗客は数名でした。(帰りのバスは通常の路線バスでした。)
これから約1時間のバスの旅です。
時刻通りに出発し、最初は民家のある道路を通りますが、だんだん山の中へ入っていきます。
途中、「ブレーキテストをします」と運転手さんの案内があり、数分バスは止まります。ブレーキテストをしなければいけないほどの急坂を通るのだとわかり、ちょっとビビリました。
どうやら一山超えるらしく、その場所が山の一番上らしいです。
これから下るぞー! という感じなのでしょうか。
そして、急な下り坂を運転手さんの見事な運転で乗り切りました。(それほど危険な感じはしませんでしたけどね。)
バスの中から撮影した景色です。
ほとんどが深い山の中を通りますが、途中、景色が開けた場所もあり、綺麗な景色が見えました。
丹生川上神社下社の前を通ります。写真には写っていませんが、神馬さんが2頭おられました。
こちらは「道の駅 黒滝」の付近です。
この後、ながーいトンネルを2つ抜けると、すぐに天川川合バス停に着きます。
(2つ目のトンネルの途中から天川村に入ります。)
ながーいトンネルは、1つ目が1984年開通の新笠木トンネル(1693m)、2つ目が1997年開通の新川合トンネルです。
新川合トンネルは2751mもあるのです。
永遠に出口がこないのではないかと、途中不安になりました。そんなことあるわけないですが(笑)、でもそれくらい長かったです。
近年はこの辺りの道路も整備されてきているようですが、それまでは大雨などで通行禁止となることも多かったようです。
そんなことも「呼ばれなければたどり着けない」ということに繋がっているのでしょうか。
バスはほぼ定刻通りに天河大辨財天社に到着しました。
バス停のすぐ横が、天河大辨財天社の鳥居です。
大峰本宮 天河大辨財天社
【御祭神】
熊野坐大神
吉野坐大神
神代天之御中主神より百柱の神
【由緒】
飛鳥時代、役行者が大峰の開山を行った折、最高峰弥山の鎮守として祀ったのが始まりです。
奥の階段を上がった先が拝殿になります。
奥の鳥居をくぐった後から、背中や腕がビリビリというかゾクゾクして、ただならぬものを感じました。
拝殿です。
中央の鈴は神宝の「五十鈴」です(正式には神代鈴(しんだいすず)というそうです)。
この五十鈴は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸にお隠れになった時に、天之宇受売命(あめのうずめのみこと)がこの五十鈴がついた矛を持ち、舞ったところ、天照大御神が外にお出になった、という由緒のある鈴なのだそうです。
3つの鈴が1つになり、それが2組つけられています。
3つの鈴は「生魂(いくむすび)」「足魂(たるむすび)」「玉留魂(たまづめむすび)」という、3つの魂の状態を表しているそうです。
この鈴、参拝の時に鳴らすことができるのですが、普通に振ったのではならなくて、回すようにしないと鳴らないらしいのです。
参拝させていただく時に挑戦しましたが、回すのもなかなか難しく、やっぱり鳴りませんでした(泣)。
拝殿の反対側は、能楽や狂言の奉納が行われる能舞台があります。
拝殿を通り抜けて、階段を下りると、役行者堂があります。
役行者堂の天石です。
「天石」とは、境内にある「天石の云われ」によりますと、
大峰弥山を源流とする清流は天の川にそそがれ坪内(壷中天)で蛇行し、その形は龍をしのばせる。鎮守の杜、琵琶山の磐座に辨財天が鎮まり、古より多くの歴史を有す。
この地は「四石三水八ツの杜」と言われ、
四つの天から降った石
三つの湧き出る清水
八つの杜
に囲まれし処とされ、神域をあらわす。その内三つの天石(一つ石階段右・二つ五社殿前・三つ裏参道下行者堂左)を境内に祀る。
ということで、上の写真が行者堂左の天石と思われます。
「思われます」というのは、付近に「これが天石です」という案内板がないので、説明文から、たぶんこれかな、という感じです。
五社殿前の天石です。こちらは囲いがあるのでわかりやすいです。
五社殿 は境内の「五社殿の御祭神」に次のように書かれていました。
石段手前より
大将軍大神 八ツの杜の内森本神社ご祭神
大日靈貴神 天照大御神の御別名
大地主大神 琵琶山の地主守神
五社殿の前には、綺麗に丸くなった玉砂利が敷いてありました。
玉砂利の「玉」は「魂」と同じ意味、「美しい」「宝石」という意味があるということですから、丸い形なのも意味があるのですね。
トゲトゲしていてはいけません。
順番が逆ですが、こちらが一つ目石階段右の天石です。
鳥居の横の稲荷社もお参りさせていただきました。
軽トラが・・・(笑)。
天河大辨財天社は日本遺産に認定されています。
徒歩で10分くらいのことろに禊殿や他にもお社?があるらしいのですが、勉強不足なこともありすっかり忘れてしまいました。
また来なさい、ということだと勝手に解釈しました(笑)。
最後に、organic cafe「naya」さんへお邪魔しました。
「宇治金時」をいただきました。
古民家風のお宅の一室がcafeになっているのですが、とても癒される素敵な空間でした。こんな素敵な空間でいただく宇治金時は格別に美味しかったです。
さて、帰路につこうと思うのですが、なにしろバスは1日に3本。
なので、天川川合バス停まで歩くことにしました。
川沿いを歩くのですが、この川が「天の川」という名前なのです。
やっぱりここは宇宙と関係あるのか?
とても綺麗な水で、透き通っているので底まで見ることができるのです。
釣りをしている人もいました。
歩くとこういう素敵な景色に出会るので、歩くのも悪くないです。
歩いている途中、後ろを振り返ると山がそびえていて、あの山に神様がいるなあ、と思い、「ありがとうございました~。また来ますね~。」などと心の中で話していたら、途中10分程、細かい雨が降ってきました。
バス停に着く頃には、青空になっていました。
天川川合バス停
写真を撮りながらのんびり歩いていたら40分程かかってしまいましたが、無事天川川合バス停に到着。
ここが天川村の境界(境界は正確にはトンネルの中)なので、「またお会いましょう」と。
反対側は「SEE YOU,AGAIN」でした。
天川村総合案内所の前がバス亭です。
「天川村営 特産品直売所 てん」って、気になるじゃないですか!(笑)
バスまで時間があったので行ってみました。
お土産品や新鮮野菜などがありました。
新鮮野菜が安くて美味しそうだったので買いたかったのですが、旅中なので泣く泣く諦めました。
天川名物「いもぼた」が気になり、お昼ごはんの代わりにいただきました。
ご飯の中にホクホクのゴロゴロしたじゃがいもが入っていて、美味しかったです。
1個150円でした。
バス停には「天川村歴史絵図」が、道路沿いに描かれています。
これで天川村とはお別れ。
来た時と同じルートで奈良市まで戻りました。
前日に続いての虹
少し寄り道をして、奈良市内に夕方戻ったら、前日に続いて虹が現れました。
近鉄奈良駅を出たところの空です。
街頭が邪魔ですが、一部が二重になっていました。
地元の人も観光客も外国人も、みんなで虹の大撮影大会でした(笑)。
反対側の空は綺麗な夕焼け(ピンボケですが)。
2日続けて虹を見るなんて、たぶん人生初です。
しかも天河大辨財天社の前後に現れるなんて、行って良かったということだと勝手に思うことにしました。